和紙のイメージを再定義
「MONO MAKERS PROGRAM」への参加
あまり知られていませんが、和紙は100%植物性で、環境に優しい素材です。
私たちはそんな和紙本来の価値を皆様に知ってもらい、この日本の伝統を海外にも知って貰えるよう活動をしております。
海外に目を向けるきっかけは、エヌエヌ生命保険株式会社様が実施する日蘭協業支援プログラム「MONO MAKERS PROGRAM」へ参加させていただいたことです。
日蘭協業支援プログラム「MONO MAKERS PROGRAM」とは?
日本の伝統産業を担う若手経営者と海外のクリエイティブ人材に融合させ、欧州進出を目指します。Japn Cultural Exchangeとの共同運営です。
模索していた販路拡大の道筋
和紙に対して脆いイメージを持っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実際には製法によって和紙は非常に強く、かつ軽量な素材に変わります。
昨年1月には、サステナブルな植物性素材として和紙をヨーロッパで広めるため、パリで独自に現地調査を行いました。
その際に和紙の強い可能性を感じて帰国した直後、本プログラムの公募を知りました。
私たちはモノづくりに関する知見を持っていますが、海外市場への展開には経験が不足しています。そのため、その部分を補完していただけると考え、応募しました。
著名デザイナーとのコラボレーションが実現
プログラムに参加した結果、オランダの著名なテキスタイルデザイナーであるメイ・エンゲルギールさんとのコラボレーションが実現し、和紙を使用したクッションカバーの制作が決まりました。エヌエヌ生命さんには、デザイナーとのマッチングから企画立案、提案資料の作成、通訳など、さまざまな面でご支援いただきました。
西洋化した生活様式や冠婚葬祭の簡略化に伴い、日常生活の中で和紙を使用する機会は減少しています。担い手の不足や原材料価格の高騰といった問題もあり、多くの業者が倒産や廃業に追い込まれています。
この現状を打破するためには、販路の拡大が急務です。しかし、従来の和紙製品をそのまま海外に持ち込むわけにはいきません。和紙を単なる「紙」としてではなく、多様な可能性を持つ素材として再定義し、新たな価値を見出す必要があると感じています。
大きな支えとなる貴重な存在
課題を感じていても、実際に行動に移すのはなかなか難しいものです。日々の業務に追われる中で、新たな挑戦はどうしても後回しになってしまいます。しかし、プログラムに参加することで、達成すべき目標とそのスケジュールを明確に設定することができたのは非常に大きな意味がありました。
これまでも和紙が意外な形で使用される事例はありましたが、それはあくまで意図的な選択だったように思います。私が目指しているのは、和紙が「最も適した素材だから」として選ばれるようになることです。これからは、クッションカバー以外のプロダクトにも挑戦しながら、自らの力で進んでいきたいと考えています。
「MONO MAKERS PROGRAM」の参加を経て、私はこのような素晴らしいプログラムは他にはないと思いました。
現状への危機感を抱きながらも実行に移せずにいる方々には、ぜひ続いていただきたいですね。
今年はオランダでの展示即売会に出店したいと考えています。
私は和紙業界の構造を根本から変えようと行動し、エヌエヌ生命保険株式会社様の支援を受けて、大きな一歩を踏み出しました。
衰退が懸念される伝統産業も、新たなアプローチによって、再び輝きを取り戻すことができるよう、私たちは伝統と革新の融合を通じて、これからも新たな可能性を追求し続けます。