和紙は印刷できるのか?もちろんできますが・・・

百万塔陀羅尼。世界最古の印刷物

皆様こんにちは、大上です。

もちろんできます!
和紙って印刷できるんですか?とよく聞かれます。もちろんできます!と胸を張って応えます。
世界で一番古い印刷物は、「百万塔陀羅尼」という経典です。
これは、和紙に木版か金属版で作った版で印刷されたものです。今でいう、活版印刷ですね。
これがだいたい1200年ちょっと前のことです。そこから、錦絵やら浮世絵やら、書籍やら、和紙の流通に印刷は切っても切れないものになりました。

百万塔陀羅尼。世界最古の印刷物

百万塔陀羅尼。世界最古の印刷物

では、なぜ印刷できるんですか、などとお聞きになられるのでしょうか。
普通の紙に比べて、使う場面が減り印象がうすいからでしょうか。
おそらくその通りなのですが、それを後押しする要因があります。
商業印刷=オフセット印刷の自動給紙、というのが一般的になったからなのです。

オフセット印刷における給紙方法
原因としての一番は、和紙の和紙たる所以である「絡み」からきています。絡みがあるということは、無数の穴が開いているということだと以前のブログでお伝えしました。
「和紙と洋紙の特徴の違いは?」http://urx2.nu/g9EO

オフセット印刷の自動給紙の場合、エアーで紙を吸い上げて、次々と印刷していくのですが、和紙はその多孔質さ故に、うまく給紙できないのです。
また、絡みがあって穴が多いと、印刷が滲んでしまったり、色が沈んだりと具合が悪いです。
印刷が出来ない、というよりかは、給紙が出来ない、というほうが正しいですね。

オフセット印刷で刷られた和紙包装紙

オフセット印刷で刷られた和紙包装紙

数は少なくなりましたが、給紙部分を手差しでオフセット印刷をされているところは、薄手の和紙も印刷してくれます。給紙口の工夫で自動給紙でも上手に通してくださる職人さんは、昔はたくさんいらっしゃったのですが、最近の印刷機はそういう職人技を必要としない構造になってきているので、かえって和紙などへの対応は難しくなっているそうです。

オフセット印刷自動給紙にも対応する和紙
そういう理由なのですが、出来ないからって引き下がるのが和紙ではありません。さすが1400年間生活に合わせて進化してきただけはあります。
各メーカーは、絡みをふさぐために、昔はドーサと呼ばれる液体があり、今は機械抄きの場合はサイズ剤というものを入れます。これにより、和紙の風合いを生かしながらも、給紙や印刷に耐えうる和紙が登場してきます。この辺りが、まだまだこれから皆様に親しんでもらえる余地がたくさんあると思っています。
弊社のラインナップではこうしたオフセットの自動給紙に耐えうる、風合いのある和紙がメインとなります。
おすすめの和紙も、また後日紹介しますね。

和紙の色々な形

和紙の色々な形

限界があります
しかし、印刷においてはやはり洋紙が強いです。印刷のために作られた紙なんですもの。
洋紙に追い付け追い越せとやってしまうと、和紙らしさをどんどん失っていきます。もとから目を詰めていくことになります。

価格を下げようとすると、洋紙の原料と似通ってきます。そういう和紙が市場にはたくさん出回っていますし、弊社も扱っています。
ひょっとすると、和紙って印刷できるの?と思われる方の中には、普段目にしている和紙が、和紙には見えていない、という人も含まれているのかもしれませんね。

和紙を印刷するいろいろな方法
今一度、和紙ってなんなのか、どういうものなのかを我々が見直さないといけません。和紙らしい和紙を印刷できる方法も、たくさんあります。活版、シルクスクリーン、手差しオフセット、実はインクジェットやレーザープリンターなど・・・これらの用途や向いているロットなども、また回を分けてご説明しますね。

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