和紙と洋紙の特徴の違いは?

木毛セメント版

皆様こんにちは、大上です。
本日は、和紙と洋紙についての違いを書いていこうと思います。

和紙と洋紙。
これはそもそも和紙とは何で、洋紙とは何、というところから入る必要があります。

和紙とはなんぞや、という私なりの意見は先回の記事をご覧いただければと思います。
「和紙って何なのでしょう」http://urx2.nu/g7KT

和紙は長い繊維を「絡める」もの、洋紙は短い繊維を「敷き詰める」ものと、記載させてもらいました。

洋紙は印刷するために生まれてきた紙ですので、印刷適性が最優先です。表面は平滑で、インクが乗りやすいようになっています。

一方、和紙は、長い繊維を「絡めて」いるため、ところどころに顕微鏡レベルでみるとわかる穴(隙間)がたくさんあります。この辺りが文章ではなかなか難しいのですが、ちょうど和紙のお仕立荘の壁材が概念としては一番しっくりくるのでこれを用います。(実際にはこれは、木毛セメント板と呼ばれる、木をセメントで固めたものです)

木毛セメント版

木毛セメント版

絡んでいる部分と絡んでいない部分がありますよね。この絡みによって、和紙の強度が作られます。繊維間での結合があまりないものと、よく結合し絡んでいるものでは、後者のほうが強度があります。
日本固有の「流し抄き」という手法は、この絡みを生み出すことに非常に長けていたので、薄くて強いというのが和紙の世界での評価を上げました。

和紙を破ってみました。

和紙を破ってみました。

こちらは、楮を原料とした和紙を破っています。長い繊維が飛び出しているのが見えます。

普通の洋紙を破ってみました。

普通の洋紙を破ってみました。

こちらは、洋紙です。破れた口から出る繊維がこちらはほとんど見えません。

和紙ならではの利点
多孔質である利点として、空気の通りの良さが挙げられます。障子は、この微細な穴のおかげで、湿気などの気候を調節してくれるのです。行灯は、光がやさしく漏れます。まさに日本の風土文化に合った素材ですね。また、墨を使って書くときなどに好まれる、微妙な吸い付きや滲みは、この特徴のおかげです。

和紙の苦手分野とその克服
反対に、和紙は印刷においては色が沈む、滲むなど言われますが、これも多孔質が故に起こることです。昔から、滲みを抑えたいときにはドーサ引きと呼ばれる加工を行い、目を詰める工夫をしてきました。機械抄きにおいても、サイズ剤という薬品と一緒に抄くことにより、印刷を可能にしています。

価格の違い
また、洋紙との比較としては、やはり価格面もよく問題になります。長い繊維を絡めて作るため、どうしても洋紙より原料が増え、抄紙のスピードも上がりません。また需給のバランスもあり、必然的に洋紙に比べると、小ロットで抄かざるを得ないので、価格に跳ね返ります。

裏返すと、洋紙ではとにかく大量に抄くことによって供給する体制を作り上げて、メーカーからお客様に届くまで、代理店、問屋など果てしない流通経路を辿るのに比べて、和紙は小ロットでオリジナルを生産することが出来るという利点につながります。弊社も、たった10名足らずの中小紙問屋ですが、幾種類もオオウエオリジナルがございます。

かなりざっくりとした話になってしまいましたが、和紙と洋紙の大きな違いを私なりの解釈で書かせてもらいました。

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