紙の反りを打開する調湿
印刷会社より、毎年冬場(特に1、2月)になると紙が反って給紙に支障が出て著しく生産性が落ちるのでどうにかしてほしい、との声が多くあった。
原紙にある程度の湿度が入っていなければ解決しないということで、洋紙では当たり前の設備であったシーズニングマシンの導入を交渉。メーカーも印刷のできる和紙を推進するためにも必須と考え導入してもらう。
シーズニングマシンの効果は絶大で、調湿紙となってからは冬場でも紙が反ることはなくなった。
冬場の印刷は和紙のみならず、洋紙も含め印刷不調の時があった。調湿対策として印刷会社様も、工場内で紙をつるして干して工場内の湿度に合わせたり、 簡易調湿器を導入するなり努力はしてもらっていたが、抄紙段階で調湿することによってそれらの手間が省けた。その上、原紙に付着していた微細繊維をも除去することが出来たので、 印刷もよくなり一石二鳥の効果となったことに喜んでいただけた。この成果を糧に、それ以降、弊社の扱う加工用、印刷用和紙は調湿を行こなっている。
和紙の風合いを残しつつ、折りやすい紙に
弊社の和紙を使用しておられる箸袋の印刷会社様より、和紙の風合が故に折り機にかけた時に、紙がスパっと折れない、何とか和紙の風合いを残しつつ、折り適正のある原紙にならないものかとの要望があった。
和紙の風合を出すために和紙らしい原料配合で短網一層で抄いていたのでどうしても折りがスパっと決まらなかった。そこで、裏面に繊維に方向性の出る円網を使用し、ニ層紙にしてみたらどうかとメーカーに提案した。
裏面が綺麗な紙になるので、若干厚みは減るものの、全体に紙が締まるが、表面は従来通りの和紙風合が残っているのでよかったし、懸案の折り機にかけてもスパっと折れるようになった。
お客様からは、ロスが確実に減り、折り筋もきれいに仕上がり大変喜んで頂けた。この用紙の開発のノウハウは後に、折り工程の入る原紙には積極的に利用することとなった。
(例)折本の経本用紙、封筒、金封等 製品名:白峰(その他 白藤、食品銀龍、白柳)
和紙を使った製品化へのお手伝い
卸商様より、和紙を使った折本を作りたいが折を綺麗にできるところを紹介してくれないかという要望があった。街の製本屋さんでは折が綺麗にできなかったよう。
弊社の付き合いのある加工会社を紹介。
これは綺麗だとokが出た時に、折りだけを紹介するのではなく弊社で製品にして納めさせてもらいたいと提案。見積もりを提出。ほどなくして製品で受注することに成功した。 キレイな折りが出来たと喜んでいただいた。それから、お客様のお手間を省くため、弊社で製品までの受注させてもらうことになった。
注文をもらうと、お知らせした納期よりもぐっと早く納品が出来、スムーズな取引に喜んで下さった。もう数年来継続している。